初任給と平均年収の関係|初任給が高い企業が本当に「得」とは限らない理由

※本記事は給与制度の一般的な解説です。各企業の最新データは企業分析NOTEでご確認ください。

2025年以降、初任給の引き上げが相次いでいます。大手企業で月給30万円超、一部の企業では初年度年収600万円以上を提示するケースも出てきました。

しかし、初任給が高い企業に入れば将来も安泰かというと、必ずしもそうではありません。この記事では、初任給と平均年収の関係、そして「初任給だけで企業を選ぶリスク」を解説します。


初任給と平均年収は別の指標

指標 意味 データソース
初任給 入社1年目の月給(基本給+手当) 採用ページ・求人票
平均年収 全社員の年間給与平均 有価証券報告書

この2つは全く異なる情報を示しています。初任給が高い企業の平均年収が高いとは限りませんし、その逆もあります。


初任給が高くても注意すべきパターン

① 初任給は高いが昇給カーブが緩やかな企業

初任給25万円→30年後に35万円という企業と、初任給20万円→30年後に50万円という企業では、生涯年収は後者の方が圧倒的に大きくなります。

初任給が高い企業には「入口で惹きつけて採用する」戦略をとっているケースがあり、その後の昇給が伸び悩む場合があります。

② みなし残業代が含まれている

初任給30万円のうち、固定残業代が5万円含まれている場合、基本給は25万円です。ボーナスが基本給ベースで計算される企業では、年収への影響は初任給の印象ほど大きくありません。

→ 詳しくはみなし残業・裁量労働制とは?を参照

③ 全社員フラットな給与体系の企業

年功序列ではなく成果主義を徹底している企業では、初任給と中堅社員の年収差が小さいことがあります。20代では高年収ですが、40代になっても年収があまり上がらない可能性があります。

④ 業界全体で初任給を上げている場合

人材獲得競争が激しい業界(IT、コンサルなど)では、業界全体で初任給が引き上げられています。この場合、特定の企業が突出しているわけではなく、業界の水準が上がっただけです。


初任給と平均年収の乖離パターン

パターン 初任給 平均年収 企業の特徴
初任給高×平均年収高 全年齢で高待遇。理想的
初任給高×平均年収中 昇給カーブが緩やか。要注意
初任給中×平均年収高 年功序列で長く働くほど報われる
初任給低×平均年収低 全体的に待遇が低い

就活生にとって最も注意すべきは2番目のパターンです。初任給の高さに惹かれて入社したものの、5年後・10年後に同業他社と比べて年収が伸びない、ということが起こりえます。


有報の平均年収と平均年齢で昇給カーブを推測する

初任給と有報の平均年収を組み合わせると、おおよその昇給ペースが推測できます。

年間昇給額(推定)≒(平均年収 − 初年度年収)÷(平均年齢 − 22歳)

たとえば: - 初年度年収350万円、平均年収800万円、平均年齢40歳の場合 - (800万 − 350万)÷(40 − 22)= 年間約25万円の昇給ペース

  • 初年度年収450万円、平均年収700万円、平均年齢38歳の場合
  • (700万 − 450万)÷(38 − 22)= 年間約15.6万円の昇給ペース

前者は初任給は低いが昇給ペースが速く、後者は初任給は高いが昇給が緩やかです。


就活生へのアドバイス

初任給は企業選びの一つの参考にはなりますが、以下の指標もあわせて確認してください。

指標 確認すべきこと 確認方法
平均年収 全社員の平均。30代・40代の年収水準の目安 有報(co-note.jpで確認)
平均年齢 初任給との組み合わせで昇給カーブを推測 有報(co-note.jpで確認)
営業利益率 高いほど年収を上げる余力がある 有報(co-note.jpで確認)
退職金制度 初任給に含まれない長期的な報酬 採用ページで確認
みなし残業の有無 初任給に含まれる固定残業代の額 求人票で確認

年収ランキングを見る企業一覧から詳しく調べる


まとめ

  • 初任給が高い企業が生涯年収で有利とは限らない
  • 初任給にみなし残業代が含まれているケースに注意
  • 有報の平均年収と平均年齢から昇給カーブを推測できる
  • 営業利益率が高い企業は将来的な年収アップの余力がある
  • 初任給だけでなく、平均年収・営業利益率・退職金を総合的に確認すべき