企業分析NOTE

副業・兼業を認める上場企業の動向|制度設計と給与への影響

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が2018年に策定されて以降、副業を認める大企業は急速に増えています。ソフトバンク・ロート製薬・みずほ銀行・ライオンなど、かつて副業禁止の代名詞だった業界でも制度導入が進み、人材獲得の武器としても機能し始めました。

この記事では、上場企業における副業制度の類型と、導入時に注意すべき労務・税務のポイントを整理します。


副業制度の3つの類型

1. 完全自由型(届出のみ)

事前届出のみで副業可能とするタイプ。IT・コンサル・外資系に多く、業務時間外であれば原則自由です。メルカリ・サイボウズ・Yahoo! などが採用しています。

2. 許可制(事前申請・審査)

副業内容を申請し、会社の許可を得てから開始する方式。メガバンク・製造業・鉄道など伝統的な大企業で多く採用されています。競業避止・情報漏洩リスクを会社側が個別に判断します。

3. 限定型(社内副業のみ)

外部での副業は禁止だが、社内公募で他部門のプロジェクトに参画できる制度。KDDI・富士通・パナソニックなどが導入しており、社員の経験の幅を広げる狙いがあります。


副業時に確認すべき4つのポイント

  1. 競業避止義務:同業他社での副業は原則禁止が一般的。広範に解釈されると、エンジニアが自社技術領域で副業できないケースもあります。
  2. 労働時間の通算:副業先が雇用契約の場合、労働時間が通算され、36協定の上限や割増賃金が発生します。業務委託契約なら通算対象外。
  3. 社会保険・年末調整:複数社で給与が発生する場合、原則本業で年末調整、副業分は確定申告が必要です。年間20万円超の副業収入は申告義務があります。
  4. 本業評価への影響:制度上OKでも、長時間副業で本業のパフォーマンスが落ちれば評価に響きます。副業を始める際は時間管理・体調管理の自己責任が前提です。

企業が副業を認める理由

企業側が副業を解禁する動機は「人材流出防止」「社外経験による成長」「副業を通じた新規事業の種の発見」などです。特に若手の採用競争が激しいIT・コンサル業界では、副業OKであるかどうかが内定受諾率に影響するほどになっています。

一方、本業に集中してほしい業界(インフラ・金融の一部)では、副業を厳格に制限し、代わりに退職金・福利厚生で囲い込む戦略を取る企業もあります。


まとめ

副業制度は単に「あり/なし」で判断せず、届出・許可・限定のどの型か、競業避止の範囲、本業への影響をセットで確認することが重要です。求人票やコーポレートサイトに制度詳細が記載されていない場合は、面接時に具体的に質問することをおすすめします。