企業分析NOTE

年齢別年収の実態|30代・40代・50代の平均を業界別に比較

「この会社に入社して10年後に自分はいくら稼いでいるのか」——就活・転職で誰もが気になるこの疑問に、有価証券報告書のデータは間接的に答えてくれます。企業が開示する「平均年齢」「平均勤続年数」「平均年収」を業界ごとに見ていくと、年齢帯による年収の伸び方に大きな差があることがわかります。

この記事では、国税庁の民間給与実態統計調査と有報データを組み合わせて、30代・40代・50代の年収実態と業界別の特徴を解説します。


日本全体の年齢別年収の傾向

国税庁データ(令和5年)によると、給与所得者全体の年代別平均年収はおおよそ以下の水準です。

年代男性平均女性平均男女計
20代後半約370万円約300万円約340万円
30代前半約430万円約310万円約380万円
30代後半約520万円約330万円約450万円
40代前半約590万円約350万円約490万円
40代後半約640万円約360万円約520万円
50代前半約680万円約350万円約530万円
50代後半約660万円約340万円約510万円

男性は40代後半〜50代前半にかけてピークを迎え、その後やや下がる傾向があります。女性は出産・育児によるキャリア中断の影響もあり、30代以降の伸びが鈍い企業が多いのが現状です。


業界別「年収の伸び方」の3パターン

有報の平均年収・平均年齢・勤続年数から逆算すると、業界ごとに年収の伸び方に明確なパターンが浮かび上がります。

パターン①:年功序列型(伸びは緩やか・安定)

メガバンク・電力・ガス・官公庁系などに多いパターンです。20代の年収は業界平均並みですが、年功昇給により50代でピークを迎えます。勤続年数が長い企業ほどこの傾向が強く、「長く居続けることで報われる」構造です。

  • 平均勤続年数:15年超が多い
  • 30代と50代の年収差:1.5〜1.8倍程度
  • 代表業界:電力・ガス、銀行(地方銀行含む)、鉄道

パターン②:実力主義型(若い時期から高く、早期にピーク)

外資系・コンサル・ITメガ企業などに多いパターンです。20代後半〜30代前半の時点ですでに年収700〜900万円台に到達するケースがあります。ただし実力評価が厳しく、40代以降は選抜が進み、管理職に残れなかった場合は年収が横ばいになることも。

  • 平均勤続年数:8〜12年程度(中途も多い)
  • 代表業界:IT(自社開発系大手)、コンサル、外資系金融

パターン③:業績連動型(好不況で大きくブレる)

総合商社・海運・証券などが典型例です。30代時点でも年収の絶対値は高いものの、年次ではなく業績ボーナスの変動幅が大きいため、年収の年々のブレが大きいのが特徴です。「コモディティ価格が上がった年は年収1,200万円、下がった年は900万円」という幅が生じます。


有報データから年齢×業界を読み解く方法

有報には個人の年収データは掲載されませんが、企業全体の「平均年齢・平均勤続年数・平均年収」の3点セットから、おおまかな年収カーブを推定できます。

見るべきポイント:

  • 平均年齢が低い(25〜33歳)+平均年収が高い:若いうちから高年収を出せる環境。急成長IT・コンサル系に多い
  • 平均年齢が高い(42〜48歳)+平均勤続年数が長い:定年まで安定して働ける年功型。ただし若い時点の年収水準は低め
  • 平均年齢が低いのに平均年収が低い:若手比率が高い成長途上の企業か、離職率が高くシニア社員が少ない可能性

本サイトでは各企業の平均年齢・勤続年数・年収を横断比較できます。特定の業界に絞ってランキングを見ると、上記パターンの違いが一目で把握できます。


「同期と差がつく」業界はどこか

年功序列型では、同じ会社に入れば同期と年収はほぼ横並びで推移します。一方、実力主義型・業績連動型では20代後半〜30代で同期内に大きな格差が生まれます。

「安定して伸ばしたい」か「早期に稼いでキャリアの選択肢を広げたい」かによって、選ぶべき業界の方向性は変わります。どちらが正解かは個人の価値観次第ですが、入社前に自社がどのパターンかを確認しておくことが重要です。


まとめ

  • 日本全体では男性の年収ピークは40代後半〜50代前半。女性は30代以降の伸びが限定的な企業が多い
  • 業界別に「年功序列型」「実力主義型」「業績連動型」の3パターンがある
  • 有報の平均年齢・勤続年数・年収の組み合わせで年収カーブを推定できる
  • 現時点の「平均年収」だけでなく、年齢別の伸び方・安定性・ピーク年齢まで確認して企業を選ぶことを推奨